大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手・立野大河のコラム(仮)

大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手《TAIGA.》こと、立野大河選手の連載コラムです


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【連載第12回】精神障がいで困ったこと、良かったこと(2024年9月5日更新)

こんにちは。こんばんは。TAIGA.です。
今回は「精神障がいで困ったこと、良かったこと」というテーマでお話しします。
精神障がいの診断をされてから約3年が経ちました。大体の人は○○障がいという言葉を聞くとネガティブなことを考えると思いますが、実際は診断がついたことで良かったこともあります。精神障がいの当事者として具体的にお話しいたします。

精神障がいで困ったこと

まず先に、困ったことについて、いくつか挙げます。といっても、困ったことは本当にキリがないです。今回は、症状ではなく、環境やその他の部分でお話しします。

各種制度手続き

精神障がいに限らず、障がいの診断をうけると、条件はありますが、各種制度を受けることができます。
ただし、日本は申請主義のため、制度を受ける場合は、各所に自分で申請しに行かないといけません。
また、その申請に関しても、書類の作成等、自分でやることもできますが、これがとにかく複雑で難しく、時間もかかります。

僕は、去年障害年金の申請を行いましたが、実際に申請に動き出してから、支給に至るまで約1年かかりました。
また、申請書類も見ましたが、精神障がいを持つ人が自分一人で完成させるのはかなり難しいと感じました。僕は社労士を間に挟んで申請しました。社労士にお願いするのも無料ではないので、仮に年金の支給が決まっても、いくらかは社労士に支払いしないといけません。
各種制度は、もちろんあれば生活を送る上での負担が減ることは事実ですが、そこに行きつくまでの壁がかなり高いと感じました。

服薬について

精神系の薬は、一度飲み始めると、勝手に中止することはおすすめされていません。もちろん、1日2日くらい飲まなくても命に関わることが起きるわけではありません。服薬すること自体に苦手意識を持ったり、「どうせ飲んでも治らないから」と飲むことを中止してしまう気持ちもわかります。

僕が一番困ったのは眠剤を飲むことができないときです。とにかく寝付くことができない、寝れたとしても睡眠が浅い、質が悪いなど、1日飲まないだけでかなり影響が出ました。服薬を継続することは、継続できない場面で大きく困ることになります。

バイトに受からない

去年の10月~12月にかけて、アルバイトの求人9つに応募しましたが、全て落とされました。落とされる際、理由を話してくれることは全くないので、なぜ自分が落とされたのかわからないことがほとんどです。そこで僕は、落とされた理由を自分なりに考えました。
すると、ある共通点が見えてきたのです。それは、全ての履歴書に「精神障がいを持っています」と記載していたことでした。僕としては、体調がすぐれないときなどに、急に休みをもらうこともあると思い、あとからトラブルにならないように記載していましたが、おそらくこの記載が、落とされた原因なのではと考えています。

今、どこのお店も人手不足で、バイトを募集しています。髪色や服装などの指定がなく自由なところも増えています。ただ、その中で、実際に欲しい人材は「安定してそこそこシフトに入れる人材」なのだと考えます。
すると、精神障がいは、体調の波が大きく安定を約束できない以上、お店側からは「この人はいらない」と評価されてしまうのではないでしょうか。

社会の中で、精神障がいの名前だけは浸透しつつありますが、障がいに対する配慮ができなかったり、社会からの精神障がいに対する偏見は、より深まっているのではないかと感じています。

人とのつながりがなくなる

僕は、精神障がいの診断をうけてから、仕事を続けられなくなり、お金も無くなり、生まれ育った場所から、縁もゆかりもない場所に移って生活をすることになりました。
今では、ソーシャルフットボールの活動や、デイケアに通うことをしていますが、実際につながるのは、障がい当事者か支援者だけです。いわゆる「友達」や「健常者」とつながる機会がなくなりました。

自分は、前職で福祉の仕事をしており、いわゆる支援する側だったので、支援者の立場や言動などを穿った目で見てしまいます。普通の友達や知り合いを作ることのハードルがかなり高くなったと感じました。もちろん、デイケアにすらいけない人もいると思います。
こうした人とのつながりは、言い方を変えれば「依存先を増やすこと」であり、自分が生きていく上で生きやすくするための手段の一つです。こうした機会に、精神障がいの人は機会に恵まれないなと感じています。


精神障がいで良かったこと

次に、良かったことについていくつか挙げます。基本的に僕の主観での良かったことになるので、みなさんと同じではないと思いますが、是非参考にしてみてください。

障がいという言い訳

障がいに限らず、自分ではよくわからない体調不良の際、医者から「あなたは○○ですね。」と言われて、ホッとした経験はないでしょうか。僕は、過去の自分の生きづらさが、精神障がいのせいだったことがわかり、心の中で腑に落ちたのを覚えています。 診断をされるということは、いわば正式に「あなたは○○ですよ」と確定されることと同じです。

前の記事にも書きましたが、精神障がいは他の人と比べて「自分一人でできないことが、少し多いだけ」です。「どうして、他の人はできていたり、こなしていたりするのに、自分はできないのだろう」と考え、ネガティブになった際「でも、自分は障がい者だからできないのは当たり前か」と自分の中で考えることによって、いい意味で諦めがつくと思います。 また、他人からお願いなどをされた時も、「自分は障がいだからできない」ということで、余計なストレスを抱えずに済みます。

ここで勘違いしてほしくないのは、「何でもかんでも障がいを言い訳にすることを推奨しているわけではない」ということです。自分のメンタルや思考を管理したりバランスを保つ際に、「自分は障がい者だから、、、」という言い訳を使うことができるというだけの話です。
自分の状態を自分でコントロールすることが難しいからこそ、いっそのこと割り切ってしまい、余計に考えすぎない、そのための一手であると思ってもらえたら嬉しいです。

障害者手帳

障害者手帳を持っていることで、各種サービスを受けることが出来ます。例えば、駐車場料金の値引きや、電車賃半額、公的施設の利用料無料などです。サービスの内容は各自治体によって違いますが、持っていることでデメリットが発生しないことも手帳の特徴です。

障害年金

僕は現在、障害年金をもらっています。生活保護と比べると一か月単位の額は少ないですが、まともに働くことのできない僕にとってはありがたい収入になっています。
障害認定日から一年六か月経っていないと申請できない等の条件はありますが、申請が無事通過すれば、働くことができなくてもお金を得ることができます。また、加算はされませんが、障害年金と生活保護の同時受給も可能です。障害年金は、障害者手帳を持っていなくても申請することができます。

人生観

僕は、精神障がい者になってから人生観が大きく変わりました。精神障がいと診断を受ける前、ようするに学生や社会人時代は、「スクールソーシャルワーカーのスペシャリストになる」ことが目標であり夢でした。
そのため、自分の将来のキャリアを考え、10年先を見据えて仕事や生活をしていました。

しかし、この人生観は、自分が精神障がい者になったことにより長続きしませんでした。もちろん、僕自身も自分が掲げた目標や夢が、精神障がいになったことで続けられなくなるとは思っていませんでした。
どれだけ先を見据えていたとしても、生きている限り何かしら想定外なことは起きます。また、それが自分の人生に大きな影響を与えることも珍しくありません。自分の人生設計を長く見据えれば見据えるほど、どこかで躓いたときに、今自分が何をしたらいいかわからなくなってしまいます。

そこで、僕は、あまり先のことは考えず、今自分がしたいことをするという考えに変えました。「先のことは考えたとしても1ヶ月先まで」という独自のルールを設定し、あまり先のことは考えず、今の自分にフォーカスを当てるように変えました。
精神障がいは、自分の体調や気持ちのコントロールを、自分自身で行うことが非常に難しいです。だからこそ、今の自分と向き合い、何ができて何ができないのかを明確にし、今できることをやってみるということを大事にしています。

こうした小さなPDCAのサイクルを自分の中で行うことによって、今できている事や、できないこと、課題、問題が客観的にわかるようになり、それを解決するために何ができるかをまた考えることができます。薬だけでなく、こうした考え方をしていくことも治療の一環なのではないでしょうか。


今回は、「精神障がいで困ったこと、良かったこと」というテーマでお話ししました。困りごとに目が行きがちですが、自分が精神障がいになったことで、ポジティブな変化が起こっているということもあると思います。悲観しすぎず、そういったポジティブな面に視点を合わせてみるのも面白いと思います。
次回は、「ラーメン日記第三弾」というテーマでお話しします。

それでは、また✋

TAIGA.

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