大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手・立野大河のコラム(仮)

大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手《TAIGA.》こと、立野大河選手の連載コラムです


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【連載第11回】ソーシャルフットボールと精神障がい(2024年8月28日更新)

こんにちは。こんばんは。TAIGA.です。
今回は、「ソーシャルフットボールと精神障がい」というテーマでお話しします。

僕は、ソーシャルフットボールを始めて、今年で2年半になります。僕自身も含めて、いろんな人のプレーを見てきた中で、精神障がいがソーシャルフットボールのプレーにどのように影響しているのかを、僕なりに考察してみようと思います。考察なので、正解不正解はありません。必ずしも誰もが当てはまっているというわけでもありません。一個人としての見解として読んでいただければと思います。

精神障がいと一言で言っても、その特性や実際の病名は多岐にわたります。僕自身も全て把握しているわけではないので、今回は「うつ病・双極性障害」「発達障害(ASD/ADHD)」「知的障害(軽度)」の3項目に絞ってお話しします。

フットボールの大前提

まずは、フットボールの大前提についてお話しします。サッカーやフットサルに共通することは、

 ・点取りゲーム
 ・ゴールを目指す
 ・マルチタスク
 ・戦術理解
 ・チーム競技

です。ボールを扱った技術や、実際の具体的な戦術など、細かい要素はサッカーとフットサルで違いはありますが、上記に挙げた点に関しては、サッカーとフットサルで共通するところだと思います。今回は、このポイントと精神障がいを絡めてお話しします。

うつ病、双極性障害

うつ病や双極性障害の特徴は「感情のコントロールを、自分ですることが難しい」ことです。実際の試合の中で、自分のパフォーマンスを最大限に発揮することが難しいと思います。
また、躁状態の時は、小さなことでイライラしたり、納得いかないことがあると怒ってしまうため、チーム競技の中で協調性を作っていくことが難しいように感じます。うつ状態がひどいときは、読んでいる文字や聞いている言葉が処理できず、何を言っているのかわからない状態になるので、自分が試合の中で何をすればいいのかわからなくなります。
このように、実際にプレーするまでのコンディション調整が、非常に難しいように感じます。

発達障害(ASD/ADHD)

発達障害は、過集中やこだわり、多動など、その特徴が多岐にわたりますが、実際ソーシャルフットボールに一番影響しているのは、「柔軟な発想や考え方が苦手」「マルチタスクが苦手」なことだと考えます。

例えば、自分がボールを持ったとします。このときの選択肢は「シュート、パス、ドリブル」の3つになります。これを、相手の状況、味方の状況、自分の状況、プレスに来る相手選手の状況、間や空間、ゴールまでの距離、点差、残り時間など、多くのことを処理したうえで、最善の一手を選ばないといけません。その決定にかけられる時間は、およそ2~3秒くらいだと思います。頭の中では多くのことを同時に処理しないといけないので、マルチタスクになります。この作業を無意識の中で行うのは、とても高度な技術です。

ここで、自分のことだけしか考えず、そのための選択肢を取ってしまうと、チーム競技として形にならなかったり、戦術そのものが破綻してしまいます。こうした傾向は、ソーシャルフットボールでは多いと感じています。

また、ソーシャルフットボールは点取りゲームであり、最終的にはゴールを目指さないといけません。ただし、誰が決めても同じ「一点」です。チーム競技である以上、全員が主人公であることはできません。ただ、脇役にも名脇役がいるように、小さな行動や判断が結果的にチームの勝利につながることはよくあります。

「自分がいいプレーをしたい」「自分がゴールを決めたい」「自分が活躍をしたい」という考え方で止まってしまうと、試合の中では同じ価値の「一点」を生み出すことが非常に難しいです。ゴールを目指すために、自分が前に進めるのか、味方に預けてみんなで前に進めるのか、この意識の違いだけでも、非常にチーム競技としてのプレーは変わってきます。

知的障害(軽度)

軽度の知的障害者が生活の中で困ることは、発達障害者と同じ点が多いです。ソーシャルフットボールでいえば、コミュニケーションの難しさや、戦術の理解、マルチタスクにおける処理速度の問題が挙げられます。チーム競技のため、味方との連携が難しくなるということが予想されます。

どのように改善したらいいのか

では、ソーシャルフットボールをやる中で、こうした障がいによる難しさをどのように改善したらいいか、僕が考えるのは「役割の簡略化と具体性」です。
サッカーやフットサルを過去に経験していない人もいると思います。ただ、どんな選手でも、自分の得意不得意はあります。ここを明らかにし、得意なことをメインに役割を与えることが大事だと考えます。

オープンなプレー、つまり自分で決めて行うプレーでは、選択肢が多すぎるので難しく考えてしまいがちです。「あなたの強みは、○○だから、これとあれとそれをやってほしい」と簡略的かつ具体的な役割の指示があれば、マルチタスクをすることがなくて済みます。
また、選手自身は自分の強みを活かしたプレーができるので、ソーシャルフットボールを楽しく感じられると考えます。こうした役割分担を行い、チームとしての戦術や戦い方を考えていくのもいかがでしょうか。


さて、今回は、「ソーシャルフットボールと精神障がい」というテーマでお話ししました。このテーマは、またどこかでお話ししようと思います。
次回は「精神障がいで困ったこと、良かったこと」というテーマでお話しします。

それでは、また✋

TAIGA.

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