大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手・立野大河のコラム(仮)

大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手《TAIGA.》こと、立野大河選手の連載コラムです


前のコラム | コラム一覧 | 次のコラム

【連載第8回】ソーシャルフットボールの可能性(2024年8月5日更新)

こんにちは。こんばんは。TAIGA.です。
今回は「ソーシャルフットボールの可能性」というテーマでお話しします。
今回のテーマは、ソーシャルフットボールの選手であり、またソーシャルフットボールに関わっている僕自身の立場から考えた内容になります。

今回のテーマは、「ミクロ・メゾ・マクロ」に沿ってお話ししようと思います。
テーマに入る前に、「ミクロ・メゾ・マクロ」について聞いたことがない方もいると思いますので、説明します。

「ミクロ・メゾ・マクロ」とは

「ミクロ・メゾ・マクロ」という言葉は、主に社会福祉の分野で使われる言葉です。ソーシャルワーク(相談援助)を行う際に、支援者が相談者の援助方針を決めていく際に用いられる考え方です。
本来では、ミクロ=個人、メゾ=集団、マクロ=社会という定義になります。
今回のテーマで用いる定義は、「ミクロ=ソーシャルフットボーラー(個人)、メゾ=個人が所属する地区(例:九州地区、関東地区など)、マクロ=日本全国」とします。
それぞれの可能性について、僕の考えをお話しします。

ミクロ視点における可能性

以前、「ソーシャルフットボールをやる目的は、その人自身が決めていい」と考えを述べました。身体を動かすための運動の一つや、活動をするために日常生活において生活リズムを整えるなどの、いわゆる療法(運動療法)を目的としてもいいですし、試合に勝ちたい、自分のできることを増やしたい、サッカーやフットサルがうまくなりたいなどの競技性を目的にしてもいいと思います。

どちらの目的であったとしても、ソーシャルフットボールに関わることで、ミクロ(個人)のQOL(生活の質)上昇の可能性がとても高いです。また、ソーシャルフットボールに関わることで、自身のプレーや、チーム全体のプレー、選手だけでなく審判や会場設営、企画の考案など、個人ができることややれること、またはやったことはないけどチャレンジすることのできる環境を作り出すことができます。この環境での成功体験を積み重ねていくことで、個人が自分に対して前向きになることができ、ソーシャルフットボールのみならず、日常生活における様々なことに取り組むことができる可能性も秘めていると思います。

精神障がいを抱えていても、ソーシャルフットボールに関わることで、様々な場面で自分が活躍するチャンスが生まれると思っています。このことに、サッカーやフットサルの経験があるかどうかや、運動神経がいいか悪いかは全く関係ありません。

メゾ視点における可能性

僕は九州地区に住んでいます。九州では、ソーシャルフットボール関係の大会が一年間で約7回開催されています。九州地区のソーシャルフットボールのチーム全てが、この全ての大会に出るわけではありません。
しかし、これら大会を通して、他チームとの交流を行うことのできる機会は多いと思います。ソーシャルフットボールを通して、自チーム他チーム関係なく、精神障がいを持つ人同士のつながりができ、独りになることを防ぐことができます。
交流を重ねるうちに、だんだんと仲間意識が芽生え、精神障がいを持つことによる日常生活の困難さや、それぞれがうまく生きていくヒントを、お互いが出し合ったり、気づき合えたりする可能性も生まれます。

ここに、各チームや病院のスタッフも巻き込み、専門的な視点も加えることで、九州地区全体で、精神障がいを持つ人が、独りきりで困難を抱えず、多くの人に頼りながら、困難を乗り越えていける土台になる、つまりは、精神障がいを持つ人が「自分はここに居ていいんだ」と思える居場所を、地区単位で作ることができるかもしれません。

マクロ視点における可能性

マクロ視点に関しては、メゾの拡大版だと思っていいただいて構いません。ソーシャルフットボールに関わることで、個人が所属する地区を越えて、日本全国で精神障がいを持つ人とのつながりができ、それが仲間になり、自分が抱える困難さを一人で抱えることがなくなる可能性があります。
また、日本において、ソーシャルフットボールが普及していくことで、実際に精神障がいを持つ人と関わる機会を増やすこともでき、社会全体での精神障がいに対する理解が深まると考えます。

また、日本全国において、精神障がいを持つ人達が、ソーシャルフットボールと関わることで、障がいを抱えていても自分が活躍することのできる環境を作っていくこともでき、それは多くの人にとっての居場所となるでしょう。

ソーシャルフットボールの可能性

これらが、僕の考えるソーシャルフットボールの可能性です。ミクロ・メゾ・マクロは、お互いが循環し合っており、ミクロ・メゾ・マクロそれぞれに影響を与え合います。つまり、なにか一つでもいい影響があると、他の二つにもいい影響が生まれる仕組みになっているのです。

あくまで、僕が考えるソーシャルフットボールの可能性です。これを読んでいる方が考える意見や可能性もあっていいと思いますし、ソーシャルフットボールに限らず、多くのことにミクロ・メゾ・マクロを当てはめることもできます。

ぜひ、自分が今やっていることが、自分自身や、自分の所属する集団、そして社会にどんな影響を与えることになるのか、それによって、自分自身にどんなことが返ってくるのか、考えてみてください。


さて、今回は「ソーシャルフットボールの可能性」というテーマでお話ししました。次回は、「ラーメン日記第二弾」についてお話しします。

それでは、また✋

TAIGA.

前のコラム | コラム一覧 | 次のコラム