大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手・立野大河のコラム(仮)

大分県ソーシャルフットボール協会指定強化選手《TAIGA.》こと、立野大河選手の連載コラムです


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【連載第19回】フットサルとソーシャルフットボールの違い(2024年10月21日更新)

こんにちは。こんばんは。TAIGA.です。
今回は、「フットサルとソーシャルフットボールの違い」というテーマでお話しします。この違いは様々なものがありますが、今回はTAIGA.が普段ソーシャルフットボールをやりながら、かつフットサルを学びながら感じた主観的な部分についてお話しします。

「フットサルのことをもっと知りたい」

まず初めに、TAIGA.はこれまで13年間サッカーをしてきました。ソーシャルフットボールは今年で約3年目になります。フットサルは、競技のフットサルを経験したことがなく、サッカーをやっている際に、少し練習の中で取り組んだ程度です。現在は、個サルなどに行くことが多いですが、チームとしてフットサルを学ぶ機会がありませんでした。ソーシャルフットボールを始めてから、「フットサルのことをもっと知りたい」と思い、YouTubeにて独学で勉強しています。

なので、今回の記事に関しては、競技でフットサルをやっている人やフットサルの知識がある人にとっては、僕の発言が間違っていると感じるかもしれません。それについては、一個人の見解にすぎないのでご容赦ください。

「ソーシャルフットボールのベースはフットサルにある」

では、なぜこのようなテーマでお話ししようと思ったのか、それは、「ソーシャルフットボールのベースはフットサルにある」からです。ソーシャルフットボールしか触れてきてない人にとっては、フットサルというスポーツの良し悪しがわからないと思います。また、こういったことを言語化できる人が少ないのも理由の一つです。
しっかりとした練習や指導を受けられる環境は、ソーシャルフットボールの業界ではまだまだ少ないのではないでしょうか。

運動療法としての側面もあるソーシャルフットボールなので、集まった人でボールを蹴ることが多いと思います。フットサルに基礎的な部分や、1人1人に足りない部分、逆に強みになる部分にフォーカスして練習等を行う機会が少ないと感じています。
ただ、競技としての側面もある以上、チームとして強くないと試合には勝てませんし、試合に勝てないとつまらないと感じる人も多いのではないでしょうか。チームが強くなるということは、チームに所属している選手の1人1人が、うまくなったり知識を深めたりしないといけません。ボールを蹴ること自体、ソーシャルフットボールが初めてという人も少なくないと思います。

そこで、この3年間TAIGA.が活動してきた中で、フットサルとソーシャルフットボールの違いについて触れながら、どのようにしてうまくなっていけばいいかを言語化できたらと思います。違いについてはたくさんありますが、今回は「オンザボール」と「オフザボール」の2点に絞ってお話しします。

「オンザボール」

まず、「オンザボール」についてです。オンザボールとは、「自分がボールを持っているとき」のことを指します。みなさんは、普段ボールを蹴る際、自分のところにボールがある状態で何を考えますか。
まず、オンザボールのときの選択肢は大きく分けると3つしかありません。「ドリブル・パス・シュート」のみです。僕が、独学で勉強してきた中で感じる違いは、「フットサルの第一選択肢はパス。ソーシャルフットボールの第一選択肢はドリブル」という点です。

この違いは、オフザボールのときの動きが大きく関係してくるので、ここでは詳しく話しませんが、ボールを持っている人、つまりオンザボールの人の圧倒的な違いは、「顔が上がっている」かどうかです。
ここは、技術と慣れが必要なので、短期間で顔を上げた状態でのプレーができることはありません。ただし、顔が上がっていると、味方や敵の状態を把握することができます。この把握がしっかりしていないと、「パス」の選択肢が消えます。
味方や敵が見えていないのでどこに出せばいいかわからなくなり、結果としてドリブルをすることになってしまいます。

優先順位はパス>ドリブル

僕自身、フットサルやソーシャルフットボールにおいて、ドリブルの選択肢は最終手段だと思っています。サッカーと比べて、全体のスペースがないフットサルでは、一対一の状況が生まれやすく、それなりに足元の技術がないと、ドリブルでのミスが発生するからです。
また、ドリブルは基本的に相手を一人ずつかわしていくのに対し、パスは一本繋がることで、相手を複数人かわすことができます。そのため、パスはドリブルよりも優先順位が高いのです。

どのようにオンザボールの技術を上げるか

では、どのようにオンザボールの技術を上げていけばいいかについてお話しします。特に、ボールを持っていると何をしたらいいかわからない人、ドリブルするけど取られてしまう人など、ボールの扱いに慣れていない人にはおすすめです。

1.自分がボールを扱える範囲を知る
自分がボールを扱うとき、どの範囲までなら自分の足が届くのかを知ることは大事です。もっと簡単に言えば、何をするにしても、その範囲に入っていれば、まず相手に取られる可能性は低くなります。
この範囲を知るやり方は、自分の軸足を中心にして、利き足で半円を描いてみてください。利き足は少し曲げると良いです(完全に伸ばしてもいいが、完全に膝が伸びている状態でのボールの扱いは難しいため)。描いた半円の範囲が、自分がボールを正しく扱える範囲になります。トラップで範囲内に収めることができるように意識しましょう。

2.トラップ
トラップは、オンザボールの最初の動作です。このトラップを正確にできないと、パス・ドリブル・シュートの選択肢全てができなくなります。
フットサルでは、より自分の範囲内にボールを収めるために、足の裏でトラップを行います。どんなボールでも足の裏でトラップができるように意識しましょう。足の裏でのトラップでのコツは、かかとを上げずに、足首を使ってつま先を上げながらボールを捉えることです。慣れてきたら、ボールアタックやトンパなどの派生技にチャレンジしてみましょう。

3.バタバタしない
トラップした後、自分がオンザボールでボールを扱う主導権を持っているのに、バタバタしてしまう選手がいます。ソーシャルフットボールでは、この傾向が高いです。バタバタすると体幹がぶれてしまい、相手のプレスからボールを取られてしまいます。
逆に、バタバタしないと、相手からすると何でもできる状況であると判断するので、うかつに飛び込んできません。この少しの時間を稼ぐことで、他の味方が動いたり、自分の中の選択肢を決定したりすることができます。ボールをトラップしたら、バタバタせず、足をしっかりつけて相手と対峙しましょう。

4.優先順位
オンザボールでは、優先順位をつけることが大切です。パス・ドリブル・シュートの選択肢はもちろん、パスならどこに出すか等の優先順位も大切になります。得点を取るスポーツなので、まずはゴールに近い人が第一優先、次に自分から遠い(逆)サイドにいる人が第二優先、次に近い味方が第三優先になります。
ボールを扱う事に慣れていない、もしくはそこまでキック力に自信がない人は、オンザボールのときにどこに身体(特に上半身)が向いているかで優先順位をつけましょう。身体が向いている方向にいる味方を第一優先とし、パスを出したら動いて、ゴールに対して正対する形で再びもらえるようにしましょう。

5.筋トレ
オンザボールのときに最も重要になるのは、体幹による重心移動です。足先だけでプレーする選手がソーシャルフットボールでは多いですが、この体幹を使った動きができると、ボールを足で扱わなくても相手を抜くことができます。
また、体幹はインナーマッスルとも呼ばれていて、見えにくい筋肉ではありますが、体幹がしっかりしていると姿勢がよくなり、基礎代謝が上がります。筋トレをするなら、まずは体幹トレーニングだけやってみてください。体幹トレーニングにも種類は様々ありますが、まずはプランク系のメニューをお勧めします。理由は、バランスを取りやすいからです。腹圧とおしりが浮かないように注意しながら、まずは30秒かんばってみましょう。
いきなりプランクをやるのがしんどい人は、腰の位置を誰かに支えてもらったり、膝をつきながらでも構いません。体幹をしっかり認知し、その体幹をぶらさずに、自分の重心を移動させることを目標にしてみましょう。

「オフザボール」

次に、「オフザボール」についてです。オフザボールとは、「自分がボールを持っていないとき」になります。フットサルでもソーシャルフットボールでも、オフザボールの動きはかなり重要になってきます。フットサルとソーシャルフットボールでのオフザボールの大きな違いは「一歩目の速さ」と「動き方」です。

一歩目が速いフットサル

フットサルはサッカーのように、だらだら走るというよりは、全員が動くことと止まることを繰り返しています。「静→動→静→動→静→静」といった感じです。この「動」のときの一歩目がフットサルは速いです。サッカーの感覚でいうと、「2~3歩のスプリント」といった感じです。
このスプリントで、相手の背中を取ったり、自分がオンザボールするときのスペースを見出したり、ドリブルで相手を抜き去っていきます。

一方で、ソーシャルフットボールでは、自分のポジションに固執していて、そのポジションの範囲内しか動かないことが多いです。オンザボールのときに初めて動くことが多いので、ディフェンスする側としては楽でしょう。「静→静→静→動→静」といった感じです。
自分がボールを持っていないときに、つまりオフザボールのときに、相手とどれだけ駆け引きができるかによって、チームとしてボールがうまく回るようになります。

フットサルでは横や斜めに動き回る

また「動き方」について、フットサルではオフザボールのとき、横や斜めに動きながら、相手の間や、オンザボールしている味方とプレスをかけている相手との間に身体を入れていきます。サッカーでは、ピッチが大きくスペースがあるため、縦運動だけでも十分相手をかわすことができます。
一方で、フットサルはサッカーに比べると、スペースがないため、相手のプレスを回避するためには、ポジションにこだわらず、お互いが動き回り、誰がマークにつくのか相手を混乱させないといけません。

オフザボールの技術を上げるためには

オフザボールのときの技術を上げるためには、何を意識して動けばいいかを挙げていきます。
オンザボールのときに、ボールを扱ったり、選択肢を探して決定したりすることに頭を使いがちですが、実際の試合では、オフザボールの時間の方が長いです。オフザボールのときに、頭と視野を使いながら、いかに考えて動けるかで、チームとしての戦い方が変わってきます。

1.横・斜めの動き
フットサルにおいても縦の動きは必要になりますが、そればかりだと攻撃→守備の連続で、より疲れてしまいます。オンザボールからオフザボールに切り替わったときに、横や斜めの動きを意識すると、マークについていた相手は、自分がそのままマークに行くか、他に渡すかで判断を迷います。そのわずかな時間をうまく利用しながら、相手のプレス回避を狙っていきます。
また、ディフェンスのときも、自分がプレッシャーをかけるときに縦の動きだけだと、相手は簡単に抜くことができてしまいます。縦の動きからしっかり止まり、間合いを測りながら、相手の動きに合わせて横や斜めの動きをすると、相手のパスコースやドリブルのコースを限定できるので、セカンドディフェンスが狙いやすいです。
オンザボールのときに「バタバタしない」と挙げましたが、この横や斜めの動きができるようになると、オンザボールのときに余裕が生まれてきます。

2.ゴー&キャンセル
ゴー&キャンセルは、マークについている相手の視野を奪うのにとても有効です。縦に動くふりをすると、マーカーは自分の背後を取られたくないので、一定の距離下がります。その結果小さなスペースができるので、キャンセルすることで足元にボールをもらう余裕ができます。
ゴー&キャンセルは、「動→静」の動きなので、マーカーが対応してきたら、「動→静→動」とつなげることで、相手の背後を取ることができます。小さなスペースで駆け引きするスポーツなので、ゴー&キャンセルは、とても有効です。

3.対角線・直線上
オンザボールの味方から、ボールをもらいたいときは、味方に対して対角線上もしくは直線上にポジションを取ると、ゴールや次の動作につながりやすいです。特に、止まりながらではなく、今いるポジションから動いてその位置に移動することが大事です。
フットサルは、基本的には、人と人の線上にボールを扱っていくスポーツです。ソーシャルフットボールでは、オフザボールのときの動きが少ない分、人同士が点になりがちなので、ディフェンスする側としては守りやすいです。オンザボールの味方と自分がしっかり線上で結ばれていることによって、オンザボールの味方の選択肢が増えます。オフザボールのときにどれだけ意識してそこに動けるかが、カギになってきます。

4.走りすぎない
フットサルでは、スプリントする場面が多いです。特にディフェンスに切り替わるシーンでは、スプリントして一気に自陣に戻らないといけません。一方で、オフェンスのときは、小さなスペースに人が動きながら、ゴールを目指していきます。
走りすぎてしまうと、必要なポジションにいたにも関わらず、そこから離れてしまい、ボールがうまく回らなくなるときがあります。オフザボールのときに走ることは、サッカーだと当たり前ですが、フットサルでは一定のポジションに来たら、そこで待つのも有効です。今どこにボールがあり、オンザボールの味方の状況を加味したうえで、自分がどこにいたら、ボールが回るのか、またマーカーにとって嫌な位置はどこなのかを考えながら、ポジション取りをしましょう。

5.小さなスペースを探す
この小さなスペースとは、言い換えれば「相手選手の間」のことです。横や斜めの動きに慣れてくると自然とできるようになります。相手からすると、真ん中のエリア、選手間のスペースを使われるのはとても守りづらいです。パスが一本通るだけで、相手複数人の視野を奪うことができます。「オンザボールのときに、まずパスを選択した方がいい」と考える理由はここにあります。
ただし、これは、相手選手間に味方がいないと成立しません。自分がオフザボールのときには、相手選手の間のスペースに顔を出してみましょう。

6.ゼロモーション
ゼロモーションは、主にオンザボールのとき、ドリブルを選択する際に使われる言葉ですが、オフザボールのときも有効です。ゼロモーションとは、「静→動」のことを指し、全く動いていない状態から、急にスピードを上げることを指します。ピヴォでの顔出しや、アラのときにマーカーの背中を取る際に有効です。
ゼロモーションは動いていない状態から、一気にトップスピードに近い速さで動くので、相手のマーカーはついてこられないケースがほとんどです。普段、スピードがない選手でも、相手の背後を取れたり、相手選手の間に顔を出せるので、非常におすすめです。

総括

総括になりますが、フットサルとソーシャルフットボールの違いは、まだまだあると思います。また、今回挙げたものは、僕がソーシャルフットボールをやりながら、フットサルを学んでいく中で気づいた、僕の主観での話になるので、これを読んでいるみなさんの中には、「もっと違う点がある!」「その意見は違う!」と思う方もいるでしょう。もちろんそれも正しい気づきだと思います。
今回は、オンザボールとオフザボールのときに絞ってお話しをしました。ソーシャルフットボールを通して、「もっとうまくなりたい!」「うまい選手がうらやましい」など感じる人にとって、自分がうまくなる材料の一つにしてもらえたら嬉しいです。



今回は「フットサルとソーシャルフットボールの違い」というテーマでお話ししました。
次回は「ラーメン日記 第五弾」になります。

それでは、また✋

TAIGA.

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